インパクト投資のジレンマ

先週、社会的投資を行っている投資先との定例会で今後どのようにインパクト/事業を拡大させていくべきかという話をした。

投資の活動自体は投資担当者など人が行うものであり、投資後の経営支援など一件の投資にかけるリソースが多くなればなるほど人への依存性は高まり”人”がボトルネックとなる。では、人を容易に増やせるかというとかけれる資金の問題であったり、能力を持った人を集めれるかという問題がありなかなか難しい。

一件の投資にかけるリソースをなるべく減らしたくさん数を打ち、その中で一件、二件の大成長を狙うという方法も考えられるが(VCでこういうモデルを採用しているところもある)、社会的投資の投資先に多い地域や社会に影響が大きいような投資先の場合そういった目線で投資を行うことが良いとは思えない。

一件あたりの投資金額を大きくするというのは一つの方法。金額を大きくするということは、それを受け止めれる投資先を対象にするということであり、つまり投資先の規模(人数など)が大きくなる。自分のところで増やすことが難しい人的資源を投資先の方で増やそうということである(自分のところの問題が資金でないという前提だが)。または、投資先側で人を増やすのではなくテクノロジーを活用するという考え方もある。人を増やすのではなくテクノロジーで代替できる仕事であればレバレッジをかけた成長が容易となる。ただしこれは(少なくとも現在では)人の創造性や能力に依存しないような、テクノロジーが担える仕事の枠組みが必要。投資という仕事では中々難しい面があるが投資先にそういう企業があれば投資のインパクトを大きくすることができる。

投資金額を大きくする以外に、今のところ考えられるのは、他者との協業というところだろうか。能力を持った人が他者にいるという前提が必要となるが、他者と協業しすることで拡大というものは可能になるかもしれない。

こういった議論は、私の前職でも行ったことがある。投資金額を大きくするという議論があったのを覚えている。過去に私が働いた組織では、投資金額を大きくする方向に舵をきったところもあった。世界のインパクト投資やベンチャーフィランソロピーの業界ではこれが大きな流れとなっている。こういう戦略をとるところが出てきても良いのだが、そのまじゃくに合わなくなってくる企業や団体はどうなるのかという点はエコシステム全体として考えなくてはいけないのではないだろうか。

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